+Black Blood.
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薄暗い雰囲気、篭った空気。
物音一つせず、光が差さない。
(なんせ国会軍事会なんですカラ)
溜め息をつきながら、階段を駆け上がるゼロ。
(あぁ、無花果は軍の人間だな)
そう、ゼロが気付いたのは、ある写真からだった。
ロビーの棚に飾られてた1枚の写真。
瓜二つの顔をした双子が無表情に、制服を着、国家軍事館の前に立っている写真だ。
不思議と、疑問は生まれてこなかった零。
(でなきゃあんなに強い訳ねぇか)
瞬発力、動体視力、反射神経、柔軟性、聴力。
どれも欠けず、優れている。
「・・・・・・・・・・嗅覚はなさそうだけど。」
目の前に、きっちりと閉められたドア。
微かに、物音。
(無花果と、男。)
そして、目の前の部屋に入った後の出来事も、想像していた。
開けてしまう罪悪感に襲われるが、仕方が無い。
(このドアを開けたら、無花果はもとの世界に戻るのだろうか・・・・
それとも、一緒に居る男に俺が殺されるか)
一瞬、腰に装着している銃を構えた。
(行くしかねぇもんな)
そう思い、零はその扉を開けた。