+Black Blood.
(此処の空間が嫌で、仁叉から逃げ出したんだ・・・兄さんと。そんで・・・・なんだっけ、アイツに飼われて、寝返られて、捕まった。)


何で、今こんな所に居るんだ。


(進む道を決められた束縛。ソレが嫌で仁叉から逃げたんじゃないのか)


なのに、何でこんな窮屈感。


(俺は、なに?)


何で、自分のしたい、自分が行きたい道が分からないんだ。


(収容所で、ゼロが居て、兄さんも居る。五月蝿いロクも居るし、何か癪に障るナナオも居る。俺は、)



ガタンッ・・・・・・・


「?」


突然、ぶつかり合う音が止まって人が倒れた音がする。


ぱ、と無花果が振り返る。


「空羽、おいで」

「っ?!じっ・・・」


その瞬間に、仁叉が空羽を抱え込んだ。



「仁叉ッ・・・・・・血、」


体にしっかり纏わりつくその手は、赤。


「見るな」

「なあ?!どうなって・・・・」



腕の中で。妙な雰囲気に無花果がもがく。



バシッ、と抱きすくめる仁叉の手を無理矢理解き、後ろを振り返る。



あか、アカ、赤。




純白の壁に、薄色のフローリングのはずだった部屋は、赤色に染まっていた。



「何が、」

「さっきの男さ、結構やるんだよ」



溜め息をつきながら、随分疲れたように口を開いた仁叉。



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