+Black Blood.
「あ?零?」


下を向いている零を覗き込む、と同時に。

零が無花果の腕を掴み、角ばった肩に乗せ上げた。


「のっ・・・・・・うあ!!」

「へっ、やっと来たか。

悪ぃな仁叉。コイツ、持ってく。」


「あぁあ?!オイっ、零おお!」


「あー・・・・・もう持ってくの?そろそろ帰してほしかったけど・・・・・あぁでも、今更この体で動けないし・・・・」



いきなりな俵持ちに目が回る無花果。


「今度、また俺が直々に連れて帰りに来るけど。そんときは零くん、狙っちゃうよ?」


「あぁ、お互い体持たねぇから、また今度喧嘩しようぜ」

「うっ、零・・・・・・揺らす、な・・・」


たらんと垂れた無花果の頭は零の腰辺りでゆさゆさ揺れていた。



(んだコイツ・・・・・!!さっきまでは自分見失ってた癖に・・・いきなり戻り始めてっ!うぇ、気持ち悪・・・・・・)



「イヤン零くん空ちゃんのパンツ見えちゃう」

「・・・・・・・・・・」


ごろりと床に寝転がったままの仁叉が顔を傾ける。


「ねぇ、本当に軍に入る気無い??」
「無ぇな。」
「力づくでも駄目?」
「その前に俺が死ぬよ」


ぎろり、と零が仁叉を睨む。


「てめえはよ、無花果に拘泥しすぎてんだよ」

「・・・・・・・・・そりゃぁ、ちっこい頃から育ててるからね」



ふと、零が思った。



(無花果止めに来なかったら・・・アイツ、殺してたな、俺。)


そうして、自分の忘我さに自嘲した。



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