+Black Blood.
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夜。
使用人や来客が居なくなった為、夜中のロビーは静まって殺風景だ。
無花果は、神経を尖らせながら、ある部屋に入った。
「お、無花果」
「・・・うす」
最初に無花果が寝ていた、あの美容室的存在の部屋だった。
ソファに座っていた律が顔を上げた。
「どうしたんだこんな時間に」
「暇でさ。今日使用人が布持ってきたって言ってたから何すんのかなって」
「あぁ、コレ?」
律が机に置いていたダンボールを叩く。
「・・・あぁ、ソレ。お前が美容関連の仕事してるっつーと何か違和感があって・・・」
「失礼だろ」
ずるりと箱の中の布を出した律。
「今日さぁ、お前運送会社の配送員にガン飛ばしただろ。・・・・ビビってた」
「大体を警戒してしまうのが習慣で、つい」
ソファの真下の床に座る無花果。
「俺の仕事、見てぇか?」
「あぁ。見たいね」
「無花果、頭貸して。お前短いから大変だけど良い練習になるわ」
「ハ?頭?」
「こっち来い」
と、言うとおりの場所に座り、部屋を物色する無花果。
「・・・・・・お前の仕事で頭使うのか?」
「頭っちゃあ頭なんだけど、髪な。」
ガタン、と沢山の物が置いてあるテーブルを引いて来た律。
「大人しくしろよ」
「・・・・・・・・・・?」
す、と触られる感覚に反応した。