+Black Blood.
「今から襲われるのに、名前どうのこう言えるなんて余裕だね」

「・・・・・・・、やめ、」

「“止めてください”?足りないよ、そんなんじゃ」




外は、凍える寒さで粉雪が舞う。



「ッ、接吻なら、零にもされた!お前のなんかにもう怖気付くか!!」



少しの騒音がし、無花果が静かになる。



「・・・・・・・・・駄目だよ。そんな言葉使っちゃあ」



(上か下かも分からない、この渦)


「言ってごらん?“もう限界です”とか、“止めてください”とか」

「も・・・・・・・・・・・・・・・、」


(激痛と、屈辱が矛盾する)




「はやく、俺のところにおいで」





わたしはなんでここにいるんですか。





「・・・君を拾ったときからね、」




ぎぃ、と安っぽい音が軋み、身体が震え上がるほどの大音量が響く。


悲鳴、なんてもんじゃない。


軋む音にあわせ、大きくなっていく裂帛。



「じ ん 」


(そんな声は俺の劣情を奮立たせるだけ)



激昂し、仁叉の腕を引っ掻く。



「っ、し、んっじゃっえ・・・・・・!!」

「君が死にそうなのに」



露になっている白い背中にキスを落とす。




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