+Black Blood.



□ □ □



―――ミッション先会社にて。



「・・・・・え?無花果様が?」


丁度、ロビーの生け花を取り変えていたメイドが二度聞きをする。



「・・・・あぁ。音信不通」

「そ、それで未だ帰っていないんですか?」

「生きてんのかも不明」



ざ、と一気に青白くなった顔を見て、零が慌てた。

死なないか、と。


「は?え?国会軍事会ですか・・・?」


言葉すらも覚束無いようだ。


「・・・・・・あ、あぁ。」


(何でこのメイドだけはこんなに無花果を気遣うのか)


メイドが持っていた花瓶を落としそうになり、零が慌ててキャッチする。


「・・・そんなに無花果が気になるの?」

「えぇ、気になりますとも!」


全力で尋ねてきたメイドの迫力に一歩下がった零。



――たった今、ロビーで見かけた侵入者を発見した所だった。

気が付けばその侵入者は倒れており、代わりにいつも通りの無表情なメイドが生け花を取り替えていた。



「・・・あんさ、この侵入者って・・・」

「襲い掛かってきましたので、つい・・・」


ふふ、と可憐に微笑むその顔からは何も感じ取られない。


「・・・無花果様とは、実は初対面じゃないんですの」

「・・・・・・ハッ?!」

「でも、このお話は致しません。お仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした。では」


愛想笑を浮かべたまま、取り替えた花瓶を片手に去っていく。


――花瓶に、血痕が見えたことは零も驚いた。



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