+Black Blood.
明るくなった顔に口元が緩む涼。
『お風呂入れさせて』
『・・・・・・・・ハァ?』
どんな無理難関な事を言われるかと思えば、風呂だった。
(空羽の身体を洗いたい、なんて言えないけど)
『ホラ、怪我してっし。背中とかはアレだろ?洗いにくいだろ?』
『そんな事なら。っつかそんなんで良いのか?ムカつく奴殺・・・』
『そんな事しなくていいわ!!』
端から見れば、涼はただの変態だった。
その頃女好きとして知られてた涼にしては金よりも嬉しい事だ。
(うっしゃ俺ロリコンもいける)
そんな卑猥な事を考えていたという事は内密で。
『沁みるから・・・凄く嫌だが』
―――そうして数時間後に逆上せてか鼻血を出しながら完成した涼と暖かいのが好きだったのか上機嫌だった空羽が出てきた。
涼とは少しの期間、一緒に楽しく暮らした。
店を一緒に手伝ったり――裏社会の人間の接客だったが――悪友達とも仲良く過ごした。
その筈だったある日。
『店主さぁん、此処に軍狗が居たって聞いたんだけど』
楽しかった出来事は、一瞬にして崩れおちた。
『・・・噂じゃないのぉ?お客サン』
だが、振り向いた時には空羽の姿が無かった。