+Black Blood.
後進しすぎたせいか、壁にぶつかる無花果。



「ッ・・・・・・・・・・っ!」


途端に勢いを失い、蹲る。



「無花果!!」



思わず駆けつけた零を制す、その動き。


「今は・・・・・・・・ごめん、零も無理」


「・・・・・・・・・・・・・、」



気まずい沈黙が流れた時。




「・・・・・でも、お前動けねえだろ」

「?!」


殴られる事承知で零が無花果を肩に担ぎ上げた。


「っや!!!」
「五月蝿い。んな場所で蹲っても何も変わらねえよ」



足早に零はエレベーターに乗り込んだ。


「・・・・・・・・・・」

(嫌に震えるな・・・・・・・)


無言のままエレベーターは最上階に向かう。



チーン・・・・・・・・・



ふわりと停止したドアを抉じ開け、律の居る部屋に入る零。



「・・・・・お、零?と、無花果・・」

無花果を見るなり動きが停止する律。


「ちょっと風呂場借りるぜ」

「今メイドさんが整髪剤洗うために入ってるけど良いの?」


律の手元には、色々な整髪剤と、ヘアアイロン。
どうやら先程までメイドで練習をしてたようだ。


「・・・・・・・・構わない」

「ちょ・・・・・零!!」


肩に担がれている無花果は垂れた頭を腰辺りで揺らす。



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