+Black Blood.
ガチャッ・・・・・・・
脱衣所に入り、その格好のまま無花果を下ろす。
「痛っ・・・・・・・」
「あぁ・・・・・・・・・・・ゴメン」
大して気にした様子も見せず、半透明のガラスが張ってある浴室に向かって叫んだ。
「メイドさーん、無花果帰ったぜー。風呂入れてやって」
ガチャッ・・・・・ガタタ、バン!!
「え」
勢い良く現れた、普段髪を上げているいつものメイド。今は濡れて垂れているが。
勿論、全裸で。
「え、ちょ、服」
「無花果様!!どうされたんですか?!」
「あの、服・・・」
「零様!!無花果様に何があったんですか?」
「見ての通りしか分からねぇ」
ガバッ、と無花果を抱き締める。
微妙な沈黙が流れた時。
破ったのは震えた声の無花果だった。
「・・・・メイド、さん。メイドさんって、仁叉の妹の香織、ちゃん??」
「ハイッ!」
脇で見ていた零が目を見開く。
「妹?!」
「普段髪の毛上げてたから分かんなかった・・・。香織ちゃんだったんだ」
顔を上げた無花果は、何処か明るい表情が戻っていた。
「そうですよ・・・訳あって、此処に居るんです。どうぞ、一緒にお風呂入りましょう」
「懐かしいなぁ」
ガチャン。
零は足早に脱衣所から逃げ出した。