+Black Blood.
___________
_______
__
「・・・・お兄様が、結婚をと」
「・・・・・・・・沁みる」
「それで、何と返したんですか?」
「痛っ・・・・・・・」
湯船で怪我が沁みる無花果の言動を無視し、ぽろりと喋った事に食いつく香織、と呼ばれたメイド。
「結婚は断ったつもり。だけどその後涼さんが来て・・・覚えてない、気を失ってたような・・・・」
「そうだったんですか・・・。すいません、兄がいつも」
「香織ちゃんが謝らないでよ、今に始まった事じゃないし」
「でも、身体にも傷をつけたしまったし、お心も心配です」
ふぅ、と浴槽の端に顎を乗せた無花果。
「・・・・・・・・・怪我なんて、小さい頃に慣れちゃったよ」
「幼少期は酷かったですね・・・・・」
湯船のお湯を手に取り、漏れて行くのを見る。
「男の方が恐くなられましたか・・・・・?」
「今は、見たくない。消えればいいのに」
淡々とした無花果の物言いに頭を捻らす香織。
「・・・・・そうですか・・・・・」
「零がさぁ、・・・・・・・・」
「はい?」
「何でもない」
ぱしん、と水面を叩く無花果。
「・・・・・・香織ちゃんも女、だよね」
「はい。」
ぐにゃりと映った自分の顔を眺める。
「実感が、分からない上によく分かんない」
「・・・・・・・そうですね・・・男の子として育ちましたからね・・・」