+Black Blood.

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「・・・・お兄様が、結婚をと」

「・・・・・・・・沁みる」

「それで、何と返したんですか?」

「痛っ・・・・・・・」


湯船で怪我が沁みる無花果の言動を無視し、ぽろりと喋った事に食いつく香織、と呼ばれたメイド。



「結婚は断ったつもり。だけどその後涼さんが来て・・・覚えてない、気を失ってたような・・・・」

「そうだったんですか・・・。すいません、兄がいつも」

「香織ちゃんが謝らないでよ、今に始まった事じゃないし」

「でも、身体にも傷をつけたしまったし、お心も心配です」



ふぅ、と浴槽の端に顎を乗せた無花果。


「・・・・・・・・・怪我なんて、小さい頃に慣れちゃったよ」

「幼少期は酷かったですね・・・・・」


湯船のお湯を手に取り、漏れて行くのを見る。



「男の方が恐くなられましたか・・・・・?」

「今は、見たくない。消えればいいのに」


淡々とした無花果の物言いに頭を捻らす香織。


「・・・・・そうですか・・・・・」

「零がさぁ、・・・・・・・・」

「はい?」

「何でもない」



ぱしん、と水面を叩く無花果。




「・・・・・・香織ちゃんも女、だよね」

「はい。」



ぐにゃりと映った自分の顔を眺める。



「実感が、分からない上によく分かんない」


「・・・・・・・そうですね・・・男の子として育ちましたからね・・・」




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