+Black Blood.
「・・・・・・私は、初めは軍人として歩む事になっていました。」
「うん。一緒に訓練してたよね・・」
「ですけれど、無花果様と羽牙祢様がいらっしゃらなくなった時に、誘拐されまして。」
「・・・・・エッ?!誘拐?」
「ハイ。今時それほど珍しい事じゃありませんけどね。此処とは違う使用人をしていた訳ですよ」
『今の時代女なんて奴隷みたいな物だよ』
ふ、と仁叉が言った言葉が蘇る。
「・・・・・女だから?」
「そうですね、それもあります」
香織は何とも思わないような顔で笑った。
「ソコが一応運送会社でして。丁度、偶然的に律様に会ったんですよ」
ふふ、と微笑んで無花果に向き合った。
「“髪が長いから、俺の会社に来い”って・・・・・・ふふ、」
「・・・・・・・・何それ・・・」
「きっと、律様は単純にカットの練習がしたかったんでしょうね。でも、あそこからこんな素晴らしい所に連れて来てくれて感謝しているんです。」
「・・・ねぇ、律ってさ。香織ちゃんが軍人だったって事、知ってるの?」
「ハイ。ご存知です。・・・・・・・律様こそ我々軍の被害者ですのにね・・・」
無花果が顔を顰めた。
「・・・・・・零に関しては私も、顔が合わせれない・・・」
「確か、汚職に就かれたんですよね・・・」
「そんな事零は言わなかったけど、」
やっぱり不公平だ、と無花果は呟く。
「・・・・ふふ、私で良ければお背中お流し致しましょうか?」
「昔はよく一緒に入ってたね」
「はい」
少し、困ったように香織は笑った。