+Black Blood.


――一方その頃。


シャキシャキシャキ・・・・



「・・・・・律。」

「あ?」

「あのメイド、仁叉ん所の妹だったんだな。」

「だからこの前強いつったろ?」

「・・・・・・確かに。強そうだ。昨日侵入者を花瓶で殴った位肝据わってるし。」



カチャン、と零が鋏を置いた。




「・・・・・流石兄上」

「キモち悪ぃ」


ふぅ、と息をついて目の前の人形を見る。


人口に作られたカット練習用の髪。


「俺はカット苦手だ」

「ムカつく・・・練習してる俺より技が入ってんのに」



くるり、とカットのみで癖が出来た毛先を触る律。


「どうやったらクセ出来んの?」

「適当にやったら。」


腕に付いた人口髪を取る。


「やっぱ俺お前キライ」

「はあ?」


捲くった腕を元に戻しながら顔を顰めた。

落ちている髪を足で集めれば、毛の塊だ。

(・・・・・犬みてぇ)


「変な奴だな」


不貞腐れた律がソファに座った。



「・・・・・もう直ぐミッション終了だな」


ちらり、とカレンダーを見遣る。



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