+Black Blood.

「・・・・・25日目、かな」


指折りしている律の正面のソファに座る零。



「――で。実はさぁ。烈に頼みがあるんだよ。」


不意に呼ばれた実名に強張る。


「・・・・・ゼロ、じゃなくてレツ、に?」

「あぁ。烈に頼み。」


足を組み直す律が、薄く笑った。


少し立った襟を直して、今から改まった話でもするようだ。



「―――天馬グループの後継者、お前に譲りたい」



その時に、がたんと風呂場からの音がする。


「!」


零が、振り向く先にはまだ髪から水が滴る無花果の姿。


「ぜろ、?」


相次いで、急いで無花果を連れ戻すメイドの香織。

バタン、と閉じ込めるようにドアが閉められた。



「・・・・・・・・・・・・・あは」


困ったように律が苦笑した。


「オイオイ・・・また空気が悪くなった・・・」

「悪ぃ、メイドに甘えさせてもらって話を進めるな。」


眉間に皺を寄せながら零が座り直した。



「―――で、どう言う事だ」

「つい最近耳に挟んだんだが、海外にこの天馬グループの分社があるそうだ」

「分社?聞いた事ないぞ」

「俺もだよ。今の時代海外との交流なんて早々無いし・・・。この間、外国人客から聞いた話で・・・。」

「・・・・・親父達からそう言う話も無かったしな・・」



そこで、律が紙を差し出した。





< 194 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop