+Black Blood.
「・・・・・25日目、かな」
指折りしている律の正面のソファに座る零。
「――で。実はさぁ。烈に頼みがあるんだよ。」
不意に呼ばれた実名に強張る。
「・・・・・ゼロ、じゃなくてレツ、に?」
「あぁ。烈に頼み。」
足を組み直す律が、薄く笑った。
少し立った襟を直して、今から改まった話でもするようだ。
「―――天馬グループの後継者、お前に譲りたい」
その時に、がたんと風呂場からの音がする。
「!」
零が、振り向く先にはまだ髪から水が滴る無花果の姿。
「ぜろ、?」
相次いで、急いで無花果を連れ戻すメイドの香織。
バタン、と閉じ込めるようにドアが閉められた。
「・・・・・・・・・・・・・あは」
困ったように律が苦笑した。
「オイオイ・・・また空気が悪くなった・・・」
「悪ぃ、メイドに甘えさせてもらって話を進めるな。」
眉間に皺を寄せながら零が座り直した。
「―――で、どう言う事だ」
「つい最近耳に挟んだんだが、海外にこの天馬グループの分社があるそうだ」
「分社?聞いた事ないぞ」
「俺もだよ。今の時代海外との交流なんて早々無いし・・・。この間、外国人客から聞いた話で・・・。」
「・・・・・親父達からそう言う話も無かったしな・・」
そこで、律が紙を差し出した。