+Black Blood.
「や、何か言いたそうだったから」
「ッ」
しね、とばかりに睨み、ベッドの背凭れに身体を預けて躊躇いがちに口を開いた無花果。
「・・・・・・・ここの社長になるって、・・・・・」
結ばれた髪を触りながら視線を外し言う。
出獄するんでしょ。
「・・・・・・多分。」
今度は零が困ったように呟いた。
二人が口を噤み、微妙な沈黙が流れる。
「絶対に、出てくの?収容所から・・・」
「何、寂しいの無花果さん」
「・・・・うるさい」
再び機嫌を損ね、苛苛と手痕がついている手首を触った。
「ッ、わ」
髪を触られる感覚に顔を上げると、間近に零の顔がある。
「髪、伸ばせよ」
「・・・・・、は?」
するりとゴムが髪から滑り落とされる。
跡がついてしまった髪の毛に手を入れ、ゆっくり梳く。
「髪・・・伸ばすって、何で」
「無花果の髪で遊びたい」
耳朶に触れた手を掴んだ。
「くすぐったい・・・・・・」
「律はさぁ、アイツ本当に細々した・・・ネイルとか、ヘアアレンジとか、好きなんだよ。仕事じゃなくて、個人的に。楽しそうにやんだよな。」
ふわり、と手が頬を優しく包む。