+Black Blood.
「ま、今日はもう2時間張ったからな。
また明日オジさん訊いてやんよ。
9号 」
ガタン、と男も立ち上がった。
そして、髪を引っ張り立ち上がらせた青年をそのまま狭い部屋に投げ入れる。
「オヤスミ9号 」
ガタン・・・
皮肉な台詞と共に男は消えた。
青年は投げ入れられた格好そのままでうずくまった。
「いって・・・」
手錠の鎖が手首を痛め、暴行を激しく加えられた身体は痣だらけだ。
「新人?まぁた派手にやられたなぁ。
あのオッサンしぶといからねぇ~」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
目の前は、鉄格子。
その鉄パイプの向こう側に人が居るのを発見した。
「・・・・・・・誰だ」
「喧嘩腰だなあ。俺は最近入った巡査官だよ。お前と同じ、新入り」
ガチャン、と鍵を閉められた牢屋の鉄格子に指をかけた男。
派手な金髪だ。
「ま、ヨロシクね?色々。」
「囚人に言う言葉なのか?」
「・・・・・俺も昔はヤンチャしてたしぃ。
何となく。」
へらっ、と笑ったその顔の額には微かながら何かの傷跡があるのを少年は見た。
「暴力で解決していたヤツが刑事なんて似合わねえよ」
「俺もそう思う。」
ジャリ、と錆付いた鎖を厳重に錠部分にかけるのを、黙って青年は見ていた。