+Black Blood.
「俺が、軍の始末命令?」
「・・・・うん。聞いたけど、零むかし・・・違法職に就いてたでしょ・・・・・・・。危険人物と見做されて今、観察されてるんだって」
一部を伏せ、無花果は台詞を読むかのように続けた。
「仁叉か?」
「ううん、一応仁叉は軍事会のトップであって政府には逆らえない立場だから。上に命令されてるの」
上に押されながらも俺を殺さないのは無花果を愛しているからなのか。
零が心で呟いた。
「だから、待って・・・・・」
「俺が殺されたくない?」
「腹立つ」
妖しく笑った零の胸板を押し返す無花果。
冗談のつもりだったのだが、顔が強張っていたのらしい。
「俺がこわい?」
「、・・・・・・・」
「男がこわくなった?」
その手首を捕まえられ、無花果が反応した。
「いや、・・・・・・」
手首の痕と零の指が重なって、思い出させる。
「俺がこわい?いちじく」
低い声。
香織とは異なる声色。
手の大きさ。
『何もかも、違う』
「・・・・っ・・・・」
思い出すのは、恐怖。