+Black Blood.
それは、零に対する嫌味でも皮肉でもなく、純粋に。


「ぜろを、ころしたい・・・・」



ぴたりと零の動きが止まった。



「どうしたんだ?」

「仁叉が、言ったの。人が一番綺麗な時は、苦しむ瞬間だって。死のうとしていた人も、首を絞めると必死に生きようと抗うみたいに抵抗するんだって。」

「・・・・だから?」

「見たい、零の全部が」



真っ直ぐな、目。


憎いから殺したい、とか嫌いだから殺したい・・そう言う眼じゃない、目。



「いいよ、殺せるなら」


にっこりと、今までに無い笑顔で答えた零。





「っ、」



無花果が零に跨り、ネクタイを外してゆっくりと喉仏に指を回した。



「・・・・・私は零の全てを奪ったのに何で殺しても良いよなんて言えるのかが分からない・・・」



両手に力を籠め始める。



「っ・・・・・・・・」



眉が寄り、だが真っ直ぐに無花果を見上げる零。


ひたりと零の気管を止めた無花果。



酸素を求める口に、自ら口付けをした。



「ん、」


零の舌が空気を求めるように無花果に縋る。


触れた舌に驚いて、無花果は手の力を緩めた。



「はっ・・・・・・・・」


真下には、首を傾けて荒い息を吐く零。


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