+Black Blood.
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□ □ □
『それで?空羽はまだなの?』
「・・・・・今はまだ発見してなくて。」
『・・・・・・・・ふうん妖しい嘘ね』
「とんでもないよ。いつも忠誠を誓うって言ってるでしょ、軍は。」
『あら、貴方はいつ裏切るか分かった物じゃないわよ?』
くすり、と受話器越しに嘲笑が漏れた。
「貴女に、敵う訳が無い」
『アタシそう言う尽くすタイプの男好きよ。今度遊ばない?』
「命がいくつあっても足りないよ」
――早朝5時より。突然使いもしない携帯電話からの着信で起きた仁叉は少し不満気味だった。着信相手も最悪だったし、よりによっても内容が最悪だ。
『もう限界よ、こっちは』
「何の話?」
『抑えきれないわ。もう直ぐ・・・悪夢が来る』
ふと、仁叉は窓の外を見た。
「・・・・・もうすぐ、来る・・」
『貴方も覚悟はしといてね・・・。若いみそらで可哀想だけど、軍の、日本の力のトップとして。生きて帰れる保障も無いわ』
「勿論」
厚い雲が空を覆っていて、日光が入らない。
雪降るかなぁ、と考えながら、仁叉は脚を組んだ。
『――理解者の醜い悪足掻きだけれども。大切な人間は逃がしときなさいよ』
「国民に知らせずに?」
仁叉から嘲笑が漏れる。
『・・・・・えぇ、汚いわね、この世界は』
「俺らもね・・・。それじゃあ用意するとしようか。できるだけソッチ側も抑えてね」
『了解。ついでに早く返してよ。』
ブチッ。
気に食わない話題になり、仁叉は通話終了ボタンを無理矢理押した。
「そう上手くは行かないんだよ。」
彼女の匂いが染み付いたベッドを撫でた。