+Black Blood.
「えぇ・・・・・・・・しないでって・・・」
完全的トラウマ。
そんな言葉が零を過ぎった。
「や・・・・・・・・・・」
「お前は俺を知りてぇって言うけど、それはどっからどこまでの範囲とか、ただの馴れ合い程度なのか、どっち?」
頬に触れると、ビクリと震える。
「・・・・俺は、最初すっげーお前が嫌いで、会ったら殺してやろうとも思ってた。だってよ、お前らのせいで家も無くなるし、手も汚さなきゃいけなくなった。たまたま、仕事でミスって捕まった時に、心底お前らを憎んだし」
顔を上げた無花果。
「ソレは結構昔の話なんだけど、収容所暮らしに慣れた頃お前が相部屋で入ってきて。俺はずっとお前の事男だと思ってたから女だって分かった時無理に襲おうかなーとか考えていた訳。
凶悪だろ?」
にやりと妖しく笑った顔に怯んだ無花果は更に零と距離を置いた。
「そんなこと考えながら、お前の兄貴は敵意剥き出しだし、お前も剥き出しだし、律の企みだと思うけどミッション一緒になるし。殺る機会が無くなったみたいな?」
「私を殺・・そうとしてたの・・・・」
「勿論?今更だけど、そんな興味が薄れてきて。変わりに、“無花果”本人に興味が湧いたんだ。」
ぎしりとスプリングが鳴った。
「・・・・軍長との親密な仲だった訳だし、お前の中の“女”にも興味が出た。その日からは男が若干苦手になっていく所とか、案外非力な所とか・・・・・可愛いって。」
非力で悪かったね、と顔を顰めた無花果。
「お前はお前なりの過去を背負っていて、苦手な事もあるし、得意な事もある。俺は、そう言うのをまだ知らない方だけど、知ってくつもり。――聞くと幼少期が凄かったらしいし」
逃げていく無花果の足首を掴んで、引き寄せた。
「仁叉に襲われてても、汚い過去持ってても、俺はお前を受けるつもり」
無花果の膝裏に腕を入れて、抱える。