+Black Blood.
プチリと下着のホックが外され、力無くそれはずるりと脱がされた。
どさりと短剣がベッドに落ちて、あぁあったんだ、と気付く。
太腿に張り付いていたガーターベルトは床に落ち、更に靴下が滑り落ちる。
「ネックレス、取っていいか?」
「・・・・・うん。」
(仁叉と、兄さんにさようなら。
私は“零”になる・・・・)
ひやりとしたネックレスは哀しい音を立て、床に投げ捨てられた。
そして。
「・・このナイフ、捨てて良いのか?もし、俺がお前を滅茶苦茶にしても、もう何も出来なくなるけど」
いたくてしんじゃう、かもよ?
「・・・・・いらない・・・・・・・・・・・」
いっそ、ころしてほしい。
カラン、と遠くに投げられた短剣。
(私が身を守る術が何も無くなった。私が死ぬのも、生きるのも、零が決める)
全裸は怖い。
まるで無力な赤子みたいで、怖い。
自分を護れなさそうで・・・・。
(でも、零ならいいや)
「・・・俺がお前をわざと苦しませたらどうする?」
「・・・・気にしない・・・。ぜろが、きめて」
「無花果の全てを握ったと思うと甘美だな」
冷や汗で頬に張り付いた髪を零が払った。
確かに、命を握られていると思うと甘美な響きだと無花果は思った。