+Black Blood.
ちゅ、と唇が触れ合った。
(何で私から居なくなっちゃうの)
口を抉じ開けるように舌が侵入してくる。
(こんなに、好きなのに)
(融けあって、一緒になって、ぐちゃぐちゃに混ざりてぇ)
(何も知らない私が憎い)
(俺が、無花果の全てを決めてる)
キス、キス。
焦らす様に、ゆっくりと舌が這う。
「っ、ひ」
嗚咽のような声。
無花果はくすぐったがりだったのかもしれない、と零は思った。
「すき、ぜろ・・・・」
(私は無力な女で、零は才能溢れた人間だ)
「っ、」
ぽたりと零の汗が無花果の鎖骨に落ちた。
(もう、会えないんだ。
私は収容所にも戻らない。
もう、戻れない)
「ぜ、ろ・・・・・・・・」
――『零君の命と引き換えに、俺と結婚して』
『無花果には選択肢がそれしかない』
「だいすき」
だから、零だけは消えちゃイヤ。