+Black Blood.
(でも、こうするしかないんだ)
それは、互いに分かっていた。
「無花果、お前覚悟しとけよ」
「へ・・・・・・?」
頬を引っ張られたまま、見上げる。
「・・・・・・・この会社もっとデカくして、お前から無花果を奪ってやっから」
負け惜しみ、に聞こえたかもしれない。
それでも零は仁叉を見返して睨む。
「・・・・・・・うん、良いよ。その時はその時。俺も、空羽が好きな君を死なす事は出来ない」
何処か曇った表情。
仁叉も、同じ様に零を睨む。
「さようなら、烈」
“烈”と溢した口を塞ぐ。
「・・・・・・・あぁ、‘またな’」
空羽。
今は、無花果じゃなくて空羽、なんだ。
――最後の口付けは罪悪感の塊だった。