+Black Blood.
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無花果と仁叉が向かった場所は、ひっそりとした通りにある路地裏のあるマンションだった。
「・・・・ここ、」
「俺の自室。ここは人が通らない所謂“妖しいマンション”だから。」
カチャリ、と真っ白なドアを開ける。
(・・・・玄関ロビーに足が転がってたのは見てないことにしよう・・・)
「住人も、夜の違法仕事とか危ない人達が住んでる所。俺にピッタリでしょ?」
中は一般のマンションとなんら変わりは無い。
ただ、日が通らなくて薄暗い。
「暫くは、空羽、ここに居て」
「・・・・・ここ?何で、」
「今喧嘩が起ころうとしてる不安定な時期だから。危ないでしょ」
薄暗くて、少し埃っぽい。
だけど決して整理されていない訳ではなく、ソファやベッドなど必要最低限のものが置いてある、生活感の無い部屋。
「・・・・・怖がらないでよ。もう何もしないし、する気も無い。」
肩に力が入っていたのか、無花果は握っていた手を緩めた。
「・・・それに、空羽を拘束しておく理由も無くなったし。」
仁叉の口元が緩んだ。
「・・そっか。私、仁叉と」
ガッチャーン!!
「?!」
突然激しい音がすると思ったら、直ぐに止まる。
「あぁ、あれね、隣人。多分寝てるんだと思う」
へらっ、と当たり前のように笑う仁叉。