+Black Blood.



□ □ □



無花果と仁叉が向かった場所は、ひっそりとした通りにある路地裏のあるマンションだった。



「・・・・ここ、」

「俺の自室。ここは人が通らない所謂“妖しいマンション”だから。」


カチャリ、と真っ白なドアを開ける。




(・・・・玄関ロビーに足が転がってたのは見てないことにしよう・・・)


「住人も、夜の違法仕事とか危ない人達が住んでる所。俺にピッタリでしょ?」



中は一般のマンションとなんら変わりは無い。
ただ、日が通らなくて薄暗い。



「暫くは、空羽、ここに居て」

「・・・・・ここ?何で、」

「今喧嘩が起ころうとしてる不安定な時期だから。危ないでしょ」


薄暗くて、少し埃っぽい。
だけど決して整理されていない訳ではなく、ソファやベッドなど必要最低限のものが置いてある、生活感の無い部屋。




「・・・・・怖がらないでよ。もう何もしないし、する気も無い。」


肩に力が入っていたのか、無花果は握っていた手を緩めた。



「・・・それに、空羽を拘束しておく理由も無くなったし。」



仁叉の口元が緩んだ。



「・・そっか。私、仁叉と」


ガッチャーン!!

「?!」



突然激しい音がすると思ったら、直ぐに止まる。




「あぁ、あれね、隣人。多分寝てるんだと思う」


へらっ、と当たり前のように笑う仁叉。



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