+Black Blood.


「あぁ?確か隣は男だったような・・・・・・」

「え、誰?」

「俺、多分このマンションの住人。」

「多分って、ぎゃっ!!!」


ひょいと脇に手を入れられ、簡単に身体が浮く。



「ちっせー。何、仁叉たんはロリコンだっけか?」

「っ離して・・・・・・・・!!」


中に浮いた状態でもまだ自分より大きい男から逃れようと身体を捩る。
普段の無花果だったら男を突き放しているが、今は身体が思うように動かない。




「ちょーどいいやぁ。今はアレ、女一人だと色々危ないぜ?安全安心な俺がお前を世話してやんよ」

「ちょっ、離して!触らないで、」


ぐいと体を更に高く持ち上げられ、太腿を抱え込むように、彼の肩に座るかのように抱えられた。


「俺ぁイキの良い女好きだぜぇー。ひゃははっ」


(こないだの・・・・寝相が悪い男?どっちにしろ嫌だ!何でこんな時に力が出ないんだ・・・)



抱えられたまま、隣の部屋に移動させられる。


「・・・・・や、やめて。仁叉にここから離れるなって言われてる。」

「そりゃあアレだろ?外が危険だからだろ?大丈夫、俺なんもしねぇしー。ロリコンの気はないぜ。ただ、死にそうだから保護してやってんの。」


バタン。


部屋の扉が閉まった。



眠そうに欠伸をする男は、どうやら本当に部屋を間違えたらしい。そのまま無花果を抱えたままキングサイズのベッドに投げ入れた。
そして、自分も入る。


「!」

「んじゃっ、おやすみー。起こしたらブッ殺・・・・・・・・・・・」


最後まで言い終らない内に、深い睡眠に入っていった。



「え・・・・・・・・・、隣人・・・・?」


投げ込まれたままの格好で呆然とする無花果。




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