+Black Blood.


彼女――空羽の短かった真っ黒の髪の毛は胸まで伸び、大人びた。





「りゅっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



龍、とはあの時空羽を連れ出した長身の男だった。




「・・・・・・空羽、可愛い」

「っは・・・・・・・・・・ぁ・・・、」



彼女が苦しそうに頭を傾げた。


乱暴さに耐え切れない、と言う様に。






(いちじく、と言う人間は、龍、と言う男の“そらう”、になった。)



苦し紛れにそんな事を思う空羽。





「りゅう・・・・・・・・・、も・・う・・・・・・・・・っ」



ぐい、とシーツを引っ張った。



「もーちょい頑張って」


整った顔を緩ませ、空羽の腰を掴む。


「っ?!ぁ?・・・・・・・・・・」




一般人よりも一回り大きい龍は、小柄な彼女を組み敷いた。




・・・・・体を裂くような悲鳴は、隣の、いやマンション全体にも響いただろう。









―――あれから2年が経った。










春。




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