+Black Blood.
「ぜろ、ぜろ」
人が一人も居ない。
民家はあると言うのに、生活感がまるで感じ取れない。
もしかしたら、零は民家に紛れ込んでいるのかも、と考えて空羽は足を止めた。
『俺は1-4地区の生存者だ』
1-4地区。
空羽の足は、確実にその方角に従って走っていた。
(零、零。自殺なんてしたら、私がころしてやる)
なんで、零なんだろう。
なんで、零じゃなきゃ駄目なんだろう。
仁叉だって、かけられるだけの愛情をくれた。
龍だって、あの日から私を匿ってくれた。
律も、諒さんも、ロクも、ナナオも、兄さんも。
でも、零じゃないといや。
なんでなんだろう。
なんでこんなに零をすきなんだろう。