+Black Blood.










「ぜろ、ぜろ」



人が一人も居ない。


民家はあると言うのに、生活感がまるで感じ取れない。



もしかしたら、零は民家に紛れ込んでいるのかも、と考えて空羽は足を止めた。





『俺は1-4地区の生存者だ』






1-4地区。







空羽の足は、確実にその方角に従って走っていた。





(零、零。自殺なんてしたら、私がころしてやる)







なんで、零なんだろう。

なんで、零じゃなきゃ駄目なんだろう。




仁叉だって、かけられるだけの愛情をくれた。
龍だって、あの日から私を匿ってくれた。


律も、諒さんも、ロクも、ナナオも、兄さんも。



でも、零じゃないといや。





なんでなんだろう。



なんでこんなに零をすきなんだろう。





< 298 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop