+Black Blood.
「何も無い・・・・・・・・・」
荒地のようなそこは、枯れた植物以外何も無かった。
(・・・・・・律の所へ行けば、助かるかも・・・・。でも運べるか・・・・・・・・・・)
そして、自分より数倍大きい零を見遣る。
「っ、しょ」
(やるしかない)
倒れたままの体を起こし、自分の肩に腕を回して、多少引き摺るようにして歩きはじめた。
(ここから律の会社までそう遠くない、5キロくらいかな)
思えばミッション中窓から見た景色はここら辺だったような。
曖昧な記憶を辿り、零を背負うような形で歩き続けた。
「っは・・・・・・・・・・・・・・・・、」
重い。
流石に自分が零を抱えるのは無理があったか、と思いながらも歩く。
血か汗か分からない雫が体を伝うが気にしない。
「零・・・・・・・・」
ずり落ちた手をもう一度肩に回して、唇を結び前を向いていつもの倍重くなった足を踏み出した。