+Black Blood.
『・・・・・絶対出ちゃ駄目だよ、俺の可愛いお嫁さん』
それが、最後に見た仁叉の言葉で。
薬で苦し紛れに見た顔はとんでもなく優しくて、哀しげで。
自分が二度と会えなくなるのを分かっていた様な顔。
『こうやって首に指を掛けて』
こう?
『ちゃんと力入れとけよ、』
うん。
『いいかい?これはお前を守る為なんだ。』
知ってるよ。
『自分の身は、自分で守るんだ』
結局、私は貴方に守ってもらってばっかだったけど。
『空、』
分かってたよ、全部。
零を政府に渡されたくなければ、婚約しろなんて。
私を、戦争から守ろうとしたんでしょ。
自分の近くは安全だからって、手元に置いて、守って、
私が争い中生きて行けたのは、あのマンションに私を隠してくれた仁叉のお陰。
龍が私を拾う事も分かってたんでしょう?