+Black Blood.
「無花果、ちょっと」
少し先を見越し、律は部屋を出るように促した。
「・・・・・・なに、」
「話がある。こっちも言わなきゃいけねぇ事もあるし、話して貰わないといけない事もある」
「わかった」
少し不機嫌さを残しながら、空羽は椅子から腰を上げた。
「空」
「ん」
「俺、一応裏系の人間だからあんまし喋んないでなー?」
「知ってるよ」
オレンジ頭の涼は人懐こい笑みを浮かべながら、空羽を撫でる。
そして空羽は直ぐ隣の部屋に入った。
「・・・・・・・・無花果、率直に聞くな。零、何であんなになった?」
薄暗く、物置のような雰囲気の空室は狭く、周りが把握できる。
その壁に凭れ掛かって、律は空羽を見下ろした。
「2年前、ミッションが終わった時仁叉、の所に行ったの」
「・・・・・・・2年前?仁叉って、軍事長の源だよな」
「うん。始めは、抹殺命令が出てる零を政府に渡されたく無かったら婚約しろ、みたいな事だったんだけど・・・・・知ってるよね?」
「あぁ、ソイツが此処まで来たからな」
「その後、多分戦争中・・・・・仁叉の隠れ家にずっと居た。正しくは、途中で行方不明になった仁叉の隣人に世話してもらったんだけど」
律の片眉が上がる。
空羽は、嫌な事を思い出すかのように眉を寄せ、髪をかき上げ言葉を続けた。
「ここまで、分かった?」
「・・・戦争中、お前が無事だったという事は、」
「軟禁みたいなものだった」
顔を顰め、空羽は再び律を見上げる。