+Black Blood.
「お前が居ない間、俺とその他の員を連れてアメリカに行ってきた。少し知ってるだろ?」
「ん。」
「アメリカに、どうやら生きてる頃の両親が分社として建てた美容室があったんだよ。」
(そういやこいつどっかの財閥の息子だっけか。そう考えると零も・・・・・・・って、似合わない)
「こんな小さい面積の国の小さい会社よりずっと設備が整ってて、技術が半端ねーの。向こうでやってる社長は日本人みてぇだったし、名前もここよりずっと有名なんだ。凄かったぜ」
そう言って、満足気な笑みを空羽に向けた。
「その間はずっと零に任せてたけど・・・・・・、やっぱアイツには敵わねぇな。俺がこの会社持ってた時よりずっと経済環境も上がってるし、品質がいい」
「・・・・・へぇ、」
(こいつら何の仕事してるの?医者?難しい言葉を並べないでよ・・・・)
「センスがなー・・・・・・・、違うんだよ。」
「でも零は以前、い・・・・・んてりあとかのデザインの方が得意って言ってた」
「あぁ、どちらかと言うとな。でもアイツ暗い色ばっか選ぶから雰囲気に合わない」
少し、苦笑する。そして、気付いたかのように言葉を続けた。
「香織、貰ったから。」
「見てりゃ分かるよ。いいじゃん、香織ちゃんは何でも出来るからいつでもお嫁さんにとれるね」
「それがなー・・・・・・。」
顎に手を添え、何やら深く考え入る律。
「あれ、香織ちゃんが社長婦人って凄い似合うのに。結婚しないんだ、」
「ちょっと色々考えててさぁ。また今度話す。無花果、ちょっと飯食ってけや。腕の血管浮き出てる」
「もともとだった」
「ここで飯を食わなければ僕零くんを外に放り投げる」
「何が僕だ!どちくしょう!」
律に誘導されながら、空羽は物置部屋から出た。