+Black Blood.
起きた本人も目を一瞬見開いて、空羽を確認した。
反射で掴んでしまった髪を離し、空羽の顔をまじまじと見る。
「零!起きた!」
「あ、ぁ・・・・・・・・・・うるさい。声でかい・・」
「零!!」
突然目に入った灯りが痛かったのか、顔を逸らす。
「あれ、ここ・・・・・・・」
「律の分社。今呼んでくる」
すると零は、くるりと踵を返した空羽の腕を掴んだ。
「いちじく」
「っ、」
名前を呼んだだけで直ぐに離された手。
(これが欲しかったんだ)
熱くなった頬を零に気付かれないよう空羽は後ろを向いて、部屋を出た。