+Black Blood.
長く角ばった零の指に、がさついた空羽の黒髪が絡み付く。
「っ、」
ぐいと引っ張ったかと思うと、寝ている自分に空羽を近付けた。
(あ)
少し触れる、唇。
「っ、」
「なに」
髪を引っ張られたままで空羽は仰け反る。
「違う男に散々抱かれたいちじくちゃん」
「・・・・・・・・ぜろ、」
「しかも俺を襲ったあの政府の男だとは」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
空羽の影に包まれながら、妖しく笑う零。
「傷、広がる」
「大丈夫だって」
絡め取った髪を口元に近づける。
「何で俺がこんな怪我したと思う?」
「分からない」
髪を離し、零が片手で体を支える様に、上体を起こす。
それを支える空羽。