+Black Blood.




「うそ、可愛い。」

「ぅあっ!」



いじけていた無花果の脇を持ち上げると、抱き抱えてそのまま風呂場に連れて行く。




「ちょ、零!下ろして」

「その髪、そのままでもいいのか?」


再び、零がこみ上げてくる笑いを噛み殺す様な顔をした。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・作戦だったの」

「さぁ?」




脱衣所で服を脱ぎ捨て、乱暴に風呂場に無花果を投げ捨てる。



「いった!何すんの」

「投げた。」



つる、と滑るタイルで広い浴場の壁まで滑っていき、背中を打ち付ける無花果。



「鈍臭ー」

「だまれ」



動きが固まった無花果を湯船に落とし、零はへらりと笑う。




湯で濡れた髪が少しずつ細くなっていく。




「あ、取れる」

「取れていいの。」

「面白かったのによー」




無花果は巻かれた髪を湯船に浸け、解く様に巻きを戻した。


重力を無くした髪が湯の中でふわふわと踊り、湯から出すと緩く巻きが残った滴る髪になる。







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