+Black Blood.
「何にも、か?」
「一つだけ、親代わりの人間に教えてもらった。」
「・・・・・・・・・・・どんな事を?」
(親代わり・・・・・・?)
「人間の急所とか、絞めれば良い所とか。」
じっと零を見て、ゴクン、と飲み込んだ。
「・・・・・・・・・おお・・・・。お前さん、」
(人の殺め方しか知らないんだな・・・・)
「何か俺、変な事言ったか?」
「いんや。言ってねぇよ。此処じゃあ・・・・・。」
(無知で凶悪で乱暴で身勝手な大人達の、玩具)
「ンな事刑務所の外じゃ言うなよ」
ガブ、と最後の一口に食らい付いた。
(可哀想な )
ふと、顔を上げて零は正面の牢を見た。
(おーおー)
黒い塊が、こちらをジッと見て睨んでいる。
それに向かって、零は中指を大胆に立てた。
「ファーーック。」
「何だソレ」
「何でもねぇよ」
奥の影が、更に鈍く光ったのを見て、零は苦笑する。
(真っ暗な、時代。)