+Black Blood.
牢の少し外に出ると、そこには無花果の兄がいた。


「兄さん・・・・」


「此処じゃあ無花果ってんだろ?俺そう呼ぶ」


「エイト、か。俺もそう呼ぶ事にするよ」


「なぁになに~?兄弟いんの?見てぇ!」



後ろからの声に、二人は振り返る。



「ヒョエ~ッ!マジクリソツ!双子じゃねぇかよ」

「うるせぇよロク。」



2人の男の姿があった。



「俺、隣の牢屋のナナオ。」

「んで、俺はロックのロクだぜぇ!覚えろよ新入りぃ」


「2人、相部屋の奴らな。今の段階だったらまだお前らより罪が重い。つまり凶悪だから気をつけろよ」



零が呟くように言った。



「ゼロォ、そっちの双子はどぉなんだよ?」


「2人。ちっさい方は弟のイチジク。でけぇ方はエイトな。ちっさいのは俺と相部屋だ」


「ちっさい言うな」


「ほぉ~。二人揃ってどんな事遣らかしたんだよ」


「ん?って事は今奇数・・・・・でけぇ方独り部屋かよお!いいなぁてめー」


無花果はふと、横に目を向けた。



狭い空間で、沢山の鉄格子。


その牢の中で、人とも言えないような物が入っている。
うずくまって、助けを求めるような目で。


(こっち見てる)



「大体は此処の収容所にくると死にそうな奴がいっぱい居るんだよな~!ま、俺達は肝据わってっからそんな事気にもしねぇけどな」


(まぁ確かに牢屋に入れられた位で絶望は感じねぇか。)



そんな絶望感漂う一般牢の前を颯爽と歩く5人。



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