+Black Blood.
■ ■ ■
「ハァッ・・・・・ハァッ・・・・」
雨でぐしゃぐしゃに泥濘んだ泥がズボンを汚す。
灰色の空からは銀色の雨が降り続ける。
「居たぞ!!!あそこだ!!!!」
「っ ・・・・・・」
青年は少し後ろを振り返ってみる。
遠くに人影があるのを確認した。
この距離で俺の速度ならいける・・・。
そう思いながら、無人の街角を走り抜けた。
「ッハア・・・・ハァ・・・・・・」
肺と心臓に若干痛みを感じながらも必死に走る。
雨でTシャツと身体が密着し、身動きがうまく取れない。
「く・・・・・・っ・・・!」
脇腹からは、血が流れる。
(さっきのが効いたか・・・・クソッ!)
全身の至る所から乱闘の傷だらけだ。
(身体が持ちそうに無い・・・・・!!!)
傷の激痛と、動きすぎた内臓と、働きすぎた脚が悲鳴をあげている。
青年はこれ以上走るのは不可能だと思い、建物の裏に身を潜めた。