ピンクの落書き
嬉しさの余韻にひたっているうちだが
「次、音楽だっけー?」
「そう。急がないとチャイム鳴る」
と、教室に行き交う言葉が聞こえた。
時間割表を見ると次は、音楽だ。
キーンコーンカーンコーン…。
チャイムが鳴り響き、みんな走って音楽室へ向かう。
…音楽くらい、出てみるか。
真新しい教科書を机の中から探し出し、
筆箱も持ち立ち上がる。
教室にはうちひとり。
しんっ…と静まり返っている。
急ぐ必要も無く、うちは普通に廊下を歩いた。
音楽室は5階の最上階。
教室のある3階からは、めんどくさい。
階段多すぎ…!!
やっと着いてドアを開けた。
開けた瞬間、座っているみんなは一斉に視線を向ける。
「翼ちゃん。来てくれたんだね。翼ちゃんは、あそこの席ね」
と優しい声が聞こえた。
音楽の先生、通称まきちゃん。
もう、おばあちゃんだけど、うちは大好き。
この学校の先生の中で1番うちを理解してくれている人。