ピンクの落書き



嬉しさの余韻にひたっているうちだが



「次、音楽だっけー?」


「そう。急がないとチャイム鳴る」



と、教室に行き交う言葉が聞こえた。




時間割表を見ると次は、音楽だ。




キーンコーンカーンコーン…。



チャイムが鳴り響き、みんな走って音楽室へ向かう。





…音楽くらい、出てみるか。




真新しい教科書を机の中から探し出し、


筆箱も持ち立ち上がる。



教室にはうちひとり。


しんっ…と静まり返っている。





急ぐ必要も無く、うちは普通に廊下を歩いた。


音楽室は5階の最上階。




教室のある3階からは、めんどくさい。


階段多すぎ…!!





やっと着いてドアを開けた。


開けた瞬間、座っているみんなは一斉に視線を向ける。




「翼ちゃん。来てくれたんだね。翼ちゃんは、あそこの席ね」



と優しい声が聞こえた。



音楽の先生、通称まきちゃん。



もう、おばあちゃんだけど、うちは大好き。



この学校の先生の中で1番うちを理解してくれている人。





< 10 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop