ピンクの落書き
「行く…。」
それだけ聞こえた。
「大丈夫?落ち着いてからのが…」
「翔太を信じているから」
少しだけ微笑んだ琉那。
だが、よく見ると手が震えていた。
翔太を信じる気持ちは堂々としているが、やっぱり不安でいっぱいなんだろう…
「今…確かめてくるね」
立ち上がり、屋上から出る琉那とうち。
そっと琉那の後ろ姿を見ながら後ろからついて行った。
「琉那?」
突然、前を歩いていた琉那が立ち止った。
その肩が震えている。
どうしたものかと前方を見ると…。
そこには、翔太をアカネの姿があった。
普段、屋上には人が来ないため、この屋上へ来るための階段にも人は滅多に来ない。
その誰もいない階段にふたりがいて…見つめあって話をしている。
よりによって…なんで琉那の1番嫌いなアカネ。
「クソ野郎…」
そう呟きが聞こえた瞬間には、琉那はアカネのもとへ駆けていた。
アカネの胸倉を掴み拳を振りかぶり…
ガスッ…と鈍い音が響く。
倒れこんだアカネに覆いかぶさるように琉那は馬乗りになった。
胸倉を掴み叫ぶ琉那。