ピンクの落書き
「琉那の翔太なんだよっ!!琉那のものなんだよっ!」
ただただ遠くから見つめるしかできない。
琉那の叫び声には、涙声が混ざっていた。
「琉那のものに手ぇ出してんじゃねぇ…」
震えていた琉那の肩を翔太が掴み、アカネから離した。
「琉那。…ごめん」
…は?
なんで謝ってんの??
「琉那…別れてほしい」
…今、なんて言った?
うちの耳が悪くなったのか?
『別れてほしい』
恋人同士の禁句文句。
まじで、翔太のやつふざけてんの?
「な、なんで…どうし…て…?」
途端に声が震え始め、涙声になった琉那。
「泣いたって無理でしょ。翔太はわたしのことが好きなんだって」
と、翔太の隣に立っているアカネが冷たく言い放った。
最低だ。
「あっ…」
琉那は何も言わず駆けて行った。
「琉那っ!」
その後ろ姿を急いで追いかける。
翔太とアカネの横を通るのが、すごく不愉快だった。
アカネが“ざまーみろ”と言ったようにニヤリと笑ったのだ。
人生で一番頭にきたが、それどころじゃない。
琉那を追いかける方がよっぽど大事なことだ。