ピンクの落書き
「琉那っ!待てよ」
階段を駆け降りる琉那の後ろ姿に叫ぶ。
走って琉那の腕をつかんだ。
肩が震えていた。
「ね…ぇ…。フラれ……ちゃっ…た。」
「諦めるのは…早いんじゃないかな…」
もっと話し合えばなんとかなる可能性があると思う。
「もういい…。ちょっと放っておいて…」
静かに琉那の腕を離す。
琉那はそのまま、早退した。
琉那に掛ける言葉が見つからなかった。
琉那のいない静かな教室で寝て過ごし、放課後はいつもの場所に行く。
最近、颯と学校帰りに来ている場所。
帰り道にあるグラウンドで、バスケットゴールが立っているのだ。
ここで颯とバスケをする毎日。
「どうしたん?シュート外してばっかだけど」
颯からパスをもらってゴールに向かって投げたのだが、全く違う方向へとボールが行ってしまった。
「琉那のことか?」
颯には見透かされていたようだ。
颯は近づいてきて、顔をのぞく。
「ちょっと休憩するか」
「…うん」
荷物を置いているベンチに座る。
颯が近くの自動販売機でスポーツドリンクを買ってきてくれた。
「ありがとう」