ピンクの落書き



「琉那っ!待てよ」


階段を駆け降りる琉那の後ろ姿に叫ぶ。


走って琉那の腕をつかんだ。



肩が震えていた。



「ね…ぇ…。フラれ……ちゃっ…た。」



「諦めるのは…早いんじゃないかな…」



もっと話し合えばなんとかなる可能性があると思う。



「もういい…。ちょっと放っておいて…」



静かに琉那の腕を離す。


琉那はそのまま、早退した。



琉那に掛ける言葉が見つからなかった。



琉那のいない静かな教室で寝て過ごし、放課後はいつもの場所に行く。



最近、颯と学校帰りに来ている場所。


帰り道にあるグラウンドで、バスケットゴールが立っているのだ。




ここで颯とバスケをする毎日。



「どうしたん?シュート外してばっかだけど」



颯からパスをもらってゴールに向かって投げたのだが、全く違う方向へとボールが行ってしまった。



「琉那のことか?」


颯には見透かされていたようだ。


颯は近づいてきて、顔をのぞく。



「ちょっと休憩するか」


「…うん」



荷物を置いているベンチに座る。


颯が近くの自動販売機でスポーツドリンクを買ってきてくれた。



「ありがとう」




< 107 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop