ピンクの落書き
「翼~。今日は珍しく、学校1日いたじゃん?」
琉那がニヤニヤしながら顔を覗き込んできた。
今は、夕暮れの中の帰り道。
そう。
学校を最後までいた。
途中で学校を抜け出してたからね。
いつもは。
夕日で茜色に染まっている帰り道を歩くのは、相当久しぶり。
琉那とふたりで。
「まぁ、寝てたけどね?翼さん?」
ニヤニヤしながら覗き込んでくる琉那の視線をわざと外す。
それでも、しつこく熱い視線を送ってくる。
「でもさぁ~。寝てたけど、1日いたってだけで成長じゃん?琉那さん?」
今日は4時間目の音楽以外の授業は、ずっと寝ていた。
給食というものを久しぶりに口にした。
今日のメニューは、定番のカレーライス。
まぁ…さすがに部活は行かなかったけど…。
「琉那さ、音楽のときの席。変えてもらったんだろ?」
「うん!」
ほら、やっぱりそうだ。
こんな笑顔で嬉しそうに返事して。
琉那さん。
「翼は颯の隣じゃん?あれ見たとき、まじ爆笑だったわ」
お腹を抱え大爆笑し始めた琉那。