ピンクの落書き
「なってねーわっ!!」
なぜかそこの言葉だけが大声になってしまう。
「あはは、翼カワイーイ!でも、颯は止めたほうがいいよ?」
いきなり深刻な顔になった琉那。
眉間にシワを寄せ、難しい顔をしている。
その顔に吸いこまれそうになる。
「え、なんで?」
「だって。颯、瑞希さんと付き合ってるんだよ」
「え…そうなの?」
瑞希さん。
高校1年のうちらの先輩。
1年のくせに生意気だったうちと琉那をすごく嫌っていた。
1回殴られたことがあるほどだ。
まぁ、うちでも瑞希さんだけは恐れていた。
「うん。まだ、付き合ってから浅いみたいだけど」
「そう…なんだ…。」
どうして?
こんなに、体の真ん中に何か刺さったみたいになるの?
ギューって痛いの?
わかんないよ。
颯はうちをわからなくさせるね。
「てか、翼。彼氏はぁ?」
「まだ付き合ってるよ」
「そっか」
そうだよ。
うち、彼氏いるんじゃん。
こうすけがいるじゃん。
出会って2日目で、好きになるなんて…ありえない。
うちは颯のことなんか好きじゃない。