ピンクの落書き
あ~怠い。
学校とか、なんで行かなくちゃなんだろ?
とろとろと重い足取りで通学路を歩く。
「あったぁー。うちと、翼クラス一緒だわ」
昇降口のクラス表に親友の滝沢琉那が釘付けになっている。
中2の春。
うち、北河翼は3年にも怖がられるほど悪い生徒として学校で有名になっていた。
元ヤンの母親の影響で、身だしなみは派手だったり。
警察署には常連だったり。
「早く教室行こー?」
「うん」
琉那に連れられて教室に向かった。
一応言うけど、始業式の今日も2時間遅れの登校。
学校なんかに来たくはなかったのだが、琉那がどーしても行きたいと言うから…
目的は…彼氏に会うため。
「翔太~!!会いたかったぁ~~!!」
教室に入ると、彼氏の翔太のもとへ走る琉那。
先生の話を中断して、翔太に抱きついた。
「ねぇ、遅れてごめんね?琉那に会いたかった?同じクラスだねっ!」
「会いたかったよ。同じクラスだなぁ!」
この教室のなかで盛り上がっているのは、このふたりだけ…
翔太を見ると周りが見えなくなるのが琉那だもん。