ピンクの落書き
初涙
ヴーヴーヴー…
携帯が鳴っている。
眠いながらも、布団から手だけを伸ばし机の上から携帯を取った。
見ると琉那からメール。
From:琉那
Sub:無題
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起きてる?
今日、球技大会だよ!
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まだ起きてねぇっつーの。
球技大会…?
琉那が大好きな行事だもんな。
かっこいいかっこいい翔太王子様の活躍が見れるから。
…んじゃ、学校行くか。
うちは、眠くて怠い体を布団から出した。
5月だというのに
朝は、肌寒い。
「あ、おはよ」
階段を下りると、ママが化粧台の前で一生懸命ピアスを付けていた。
「おはよ~。ねぇ、翼。ピアス付けて?」
鏡の中のママが喋っている。
頭をボリボリかきながらママに近付いた。
近所の弁当屋さんで働いているママ。
「そんなオシャレしなくてもよくね?たかが、弁当屋じゃん」
耳に細かいピアスをいじりながら言った。
「何よ。あんただって、学校にピアスする必要なくない?」
…そうに言われると、返す言葉が見つからない。