ピンクの落書き
「あれ、あんた。また穴増えてない?」
うちの右耳を少し引っ張った。
「ほっといて」
「翼が穴を開けるときは、何かあったときなんだよねぇ~」
「……。」
さすが。
母親ってすげぇ…。
単純にそう思った。
「はい。できた」
ママの耳には、金色のピアスが揺れている。
「サンキュ。ご飯適当に食べて?行って来るね」
ママは鞄を持ち、家を出発した。
家に取り残されたうち。
パパはもう、会社へ出勤。
やっぱり母親っていうものは、よく見ているんだな…。
穴を開けたのは
颯の誕生日に、颯が来てくれなくて寂しかったときだ。
なぜか、開けてしまった。
心の変化をピアスの穴で気付かれていたなんて…
てか!
そんなことより、今日の髪の毛はヤバイよ!!
寝癖半端ない!!
巻かないと。
急いで洗面台へ行き、コテで巻く。
朝飯なんていいや。