ピンクの落書き
「まじか~~~~!!」
うちと琉那の声が重なった。
「ほんとにごめんねっ…!」
申し訳なさそうに頭を下げた萌香。
「いいっていいって。大丈夫だか…」
「翼!じゃあ、サッカー見に行こう!?翔太の!!!」
「え…?」
うちの言葉を遮って、この考えを叩き出した琉那。
本当に琉那の頭の中は“翔太”だけなんだな…
「行こうよーーー!!」
「わかったから…離せ!」
「ヒャッホーイ!確か始めの方だもん。試合。早く行くぞ!」
琉那に引きずられ駆けだした。
「ほらっ、翼走れ!」
体育館を後にし、廊下を勢い良く走る。
その時…
「…っあ…」
颯…?
琉那は全く気付いていない。
校庭に向かうことに夢中になりすぎて。
でも…あれは確かに…颯。
走ってるうちらの横を、ゆっくりゆっくり歩く颯が通り過ぎた。
走りながら振り返る。
颯だ。
その後ろ姿に懐かしさを感じた。