ピンクの落書き



「まじか~~~~!!」



うちと琉那の声が重なった。



「ほんとにごめんねっ…!」



申し訳なさそうに頭を下げた萌香。



「いいっていいって。大丈夫だか…」



「翼!じゃあ、サッカー見に行こう!?翔太の!!!」



「え…?」



うちの言葉を遮って、この考えを叩き出した琉那。


本当に琉那の頭の中は“翔太”だけなんだな…



「行こうよーーー!!」



「わかったから…離せ!」



「ヒャッホーイ!確か始めの方だもん。試合。早く行くぞ!」




琉那に引きずられ駆けだした。



「ほらっ、翼走れ!」



体育館を後にし、廊下を勢い良く走る。




その時…



「…っあ…」




颯…?


琉那は全く気付いていない。


校庭に向かうことに夢中になりすぎて。


でも…あれは確かに…颯。



走ってるうちらの横を、ゆっくりゆっくり歩く颯が通り過ぎた。



走りながら振り返る。


颯だ。


その後ろ姿に懐かしさを感じた。








< 25 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop