ピンクの落書き
「うちらと同じくサボっているらしーがな」
でも、上手い。
バスケを見て綺麗だと思ったのは初めて。
颯のバスケが好きだ。
「…どうしたの!?」
琉那がうちの顔を見て、驚きの声を上げた。
「……わかんない…っ」
視界がボヤけ始め、目がうるうるしている。
自分でもわからない。
でも、なぜか涙が溜まっている。
…どうしてだろう?
急いで体操服の袖で拭った。
「よく…わからん…」
拭っても拭っても溢れだし、颯の姿が歪んで見える。
あまりにも…颯のバスケが綺麗で鳥肌が立っている。
何も喋れない。
ただただ、突っ立って颯のバスケを見ていた。
結果は20点差のB組の圧勝。
颯のバスケ。
颯の久しぶりに見た笑顔。
そのどれに涙したのかは、自分でもわからない。