ピンクの落書き
授業中だっつーのに、このふたりのイチャつきっぷりはお構いなしじゃん…
てか、うちの席は…どこだ?
教室を見渡した。
「あ、翼さんはそこの机ね」
担任のおっさん先生が、うちの考えを察したらしく教えてくれた。
指を刺された机に向かう。
「はぁー…」
溜め息をつきながら、ドカッと椅子に座った。
あー帰りたい。
…ん……?
この人、誰だっけ?
うちの後ろに座っている人。
腰を下ろすときにちらっと見ただけだけど…
見るからに不良。
チャラ男。
えっとぉ……
「あ!」
ひらめいて、体をひねり振り返った。
「これ、落ちたよ。チューリップなんて可愛いじゃん?」
「え…あ、ありがと」
落ちたハンカチを拾ってくれ、受け取った。
今日のハンカチは、幼稚園児が使うようなチューリップだった。
普通の男子にこんなことを言われたら、『うるせぇ!』と言って叩くだろう。
だけど、なんなんだ…
口答えはしなかった。
この人が怖いとかそういのでは無い。