ピンクの落書き
アカネは上にあるゴールでは無く、真っ直ぐ突進をしてきた。
「ったぁ!!」
うちは吹っ飛び、背中から床に叩きつけられた。
その時…
指がジンジンと熱くなるのを感じていた。
「翼ちゃん、大丈夫っ?」
心配そうに駆けつけ、おろおろとしている萌香。
床に座り込んでいるうちを起こそうと、背中に手を掛けてくれた。
「大丈夫。さんきゅ」
「おい、テメェーっ!!わざとやっただろ!?」
琉那の怒声は体育館一杯に響いた。
「わざとやるわけないじゃん?翼ちゃんのファールでしょ?」
普段は琉那に逆らえないくせに、イライラしたプレーをしているアカネは怖いものなし。
喧嘩を売る言葉を並べる。
「ふざけてんじゃねーよっ!お前が、突っ込んだんじゃねぇかよ!」
琉那がアカネの胸倉をつかんだ。
琉那は、普段おっとり天然ちゃんだが、キレるとすごいやつだ。
でも、こんなうちのためにここまで怒ってくれる、すごい友達でもある。
体育館はやけに静まり返っている。
アカネは他人事のような素振り。
「琉那。うちは大丈夫だから。早く試合を続けよーぜ?」
うちは立ち上がり、琉那の腕をアカネから離した。
「でも…!」
まだ終わってないと言った、琉那の強い目。
「早くバスケをやりたい。喧嘩なんかしてる場合じゃねーよ?負けるぞ?」