ピンクの落書き
今日はバスケがしたいんだ。
喧嘩なんか、めんどくせぇ。
「琉那、ありがと。マジ大丈夫だから」
少し笑って琉那に告げる。
「先生ー、ファールとかフリースローとか何にも無しで試合続行で頼むー」
バスケのルールもよく知らない家庭科の太ったおばさん先生に叫んだ。
そのままおばさん先生は、ピピーッとなぜか笛を鳴らした。
「角っこからボール入れてちょうだい」
そう言った。
審判がルールを知らなくてラッキー。
そのまま試合続行された。
だけど…指が…
右手の薬指がジンジンと痛む。
さっき、吹っ飛んだときに薬指だけ床につけ着地をしてしまったみたいだ。
ドリブルをする度に痛む。
でも、バスケがしたい。
したいがために、うちは突き指をしたことを黙っていた。
「あっ、ヤベっ!」
上手くドリブルができず、簡単にアカネにボールを叩かれ横取りされてしまった。
これじゃあ…できない……。
ボールを追い掛けもせず、指を見る。
紫色に変色し腫れている右手の薬指。
真面目に最悪!
「翼ー、追いかけろよ~」
立ち止まっているうちの横を琉那が駆け抜けていく。
急いで走るが、簡単にアカネにシュートを許してしまった。